交通事故の加害者になってしまった場合、被害者にどのようにして謝罪すべきか

車32

交通事故を起こして相手にけがをさせてしまった場合、一刻も早く、謝罪をしなければならないと焦ってしまう人は珍しくないでしょう。

また、すぐに謝った方が被害者に対して誠意をアピールすることができて、そのあとの示談交渉が楽になると考える人もいるかもしれません。しかし、謝罪は保険会社からの指示を受けて行うべきであり、自己判断で勝手に謝るとトラブルの元になるので注意が必要です。

保険会社の助言を受けずにいきなり被害者に謝りに行くのはやめよう

交通事故を起こした直後、明らかに自分の過失で事故を招いてしまった場合は、まずその場で謝るというのはありといえます。事故を起こしたにもかかわらず、被害者などに責められるのが怖くて車から出てこようとはしないドライバーもいますが、こうした態度は起訴か不起訴かという判断のときに不利になるかもしれません。

被害者が、「加害者は事故直後に車から出ることなく、謝らなかった。まったく誠意が感じられないので、厳罰に処してほしい」といってくるかもしれないからです。起訴、不起訴の判断は、被害者が処罰感情を抱いているか否かという点がかなり重要なポイントになるので、処罰感情ありということだと起訴されてしまうかもしれません。

そうなれば、裁判で無罪にならない限り、ほぼ前科がつきます。ただ、事故の翌日以降、病院や自宅へ行って謝るのであれば、保険会社に連絡して、「被害者に謝罪したいんですが、大丈夫ですか」と聞いてから行うようにしましょう。

もし、そこで保険会社の担当者から、「直接の謝罪はやめてください」といわれたら、その言葉に従うべきです。実際のところ、被害者に対して悪いことをしたのは確かなのに、謝らないようになどと保険会社が指示を出すことはあるのかというと、十分あり得ます。

なぜそういったことになるのかというと、たとえば、保険会社の担当者が被害者と話した際、会話の内容と態度から、できるだけたくさんのお金を加害者からむしり取ろうと考えていると判断できた、といったことがあるからです。

交通事故の被害者の中には、平時はごく普通の人なのに、被害者になるとお金が絡むせいで性格が変わってしまう人もいます。このような人に対して事故の加害者が直接謝罪しに行った場合、激しく責め立てられて、必要以上にたくさんの見舞金を支払ってしまうことになるかもしれません。

味をしめたら、けがはとっくに治っているのに「まだ痛みがある」と言い続けて、お金を要求してくることもあり得ます。こういう状態になってしまうと、被害者の方から加害者に対して「謝罪は受け入れたので、もうお見舞いなどは結構です」といってくる可能性は低く、保険会社が間に入っても、ほとんど無意味でしょう。

まさに、加害者からお金を搾り取られることになってしまうのです。もちろん、交通事故の被害者はこういった人ばかりではありません。むしろ、こういった人は少数であり、たいていの人は、加害者の謝罪を普通に受け入れてくれるでしょう。

被害者の関係者が交渉に出てきてごねだしたら

被害者本人はまともな人なのに、周囲の人がごねようとしているということもよくあります。たとえば、高齢者を相手に交通事故を起こしてしまい、幸い、被害者はたいしたけがを負わなかったものの、被害者の子供が出てきて、保険会社の人間に無理難題を押しつけてくるといったケースです。

このような場合、事故現場で被害者と会話して、とても穏やかな感じの高齢者だったので、安心して後日謝罪へ行ったら、被害者の息子と対面して大変なことになるかもしれません。したがって、被害者の印象だけで直接謝罪するということを決めないようにしましょう。

また、事故現場では被害者に非常にやさしくしてもらったので、後日、謝罪しに行ったら、そのときはまるで別人のような対応をされるというケースもあります。

被害者が事故直後に加害者に対して、やさしい言葉をかけることは珍しいことではありません。そして、そういう人の中には、やさしい言葉で加害者を安心させ、警察などに連絡させないようにし、脅してくるという人もいるのです。

そのため、警察や保険会社といった第三者を遠ざけようとする被害者には注意しましょう。事故を起こしてしまったら、被害者がなにを言おうとも、まずは警察を呼ぶべきです。

被害者に「顔を見たくないので直接謝罪にこなくてい」といわれたら

被害者に謝罪しようとしたものの、まったく受けつけてくれないという場合、謝罪を諦めても大丈夫なのでしょうか。事故の被害者の中には、自分にけがを負わせた加害者の顔など見たくもないし、声も聞きたくないという人はいます。

したがって、謝罪は結構ですと被害者がいってきた場合は、保険会社の担当者にそのことを報告し、とりあえずその言葉を素直に受け取ればいいでしょう。

直接の謝罪は拒否されたとしても、保険会社がきちんと対応して保険金を被害者に支払い、弁護士が示談をまとめれば、基本的には問題ありません。起訴か不起訴かという判断でも、示談が成立しているのでマイナスにはなりません。

ただ、中には「確かに謝罪は結構だといったが、それを真に受けて本当に謝罪にこないなんて誠意に欠けている」と怒る被害者もいるかもしれませんので、保険会社の人に謝罪の手紙を預けて渡してもらうようにするというのはありでしょう。

被害者にも過失があったのに自分だけ謝るのはおかしいという場合

確かに交通事故を起こしてしまったが、相手も悪いところがあったので、自分だけ謝罪するのは納得いかないという人もいるかもしれません。たとえば、真夜中、横断歩道ではないところを渡っていた人を自動車ではねてしまったという場合、被害者にも過失はあるが、加害者の方が過失割合が大きいと判断されるはずです。

ただ、相手も悪かったから、自分だけが謝るのはおかしいという態度を取れば、当然、示談交渉はまとまりません。ドライバー側の過失がゼロでないのであれば、まずは謝るべきです。もし、被害者が過度の要求をしてくれば、それは保険会社が突っぱねてくれますし、弁護士を代理人に立てればトラブルが大きくなることはないでしょう。

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上手な謝罪が穏便な解決につながる

交通事故を起こしたとき、簡単に謝ってはいけない、謝ると自分にすべての過失があったと認めることになるからという人がいます。しかし、謝罪をしておけば簡単に示談できるはずだったのに、謝罪をしないことで被害者が怒り、裁判所で争われることになってしまった、ということもあり得ます。

うまく謝罪して穏便に解決できれば、それが一番いいでしょう。

『飲酒運転をして交通事故を起こした人の裁判と反省文』